
外を歩く時、いちばん人の目に入るのはコートだ。
というか、極端に言えば前を締めていれば中に何を着ていてもバレにくい。
体型も印象も、コートさえ女子寄りならほぼリセットできる。
中がどれだけ女子っぽくても、アウターが男っぽいと一気に雰囲気が崩れる。
逆に、コートが女子っぽいラインを作ってくれれば、肩幅や胸板など気になる部分もふわっと隠してくれる。
だから冬は、アウターが全体の仕上がりを決める。
ということで、トレンチ・チェスター・Pコート・ロングコートという定番4種類を比べて、それぞれがどんな女子っぽさを作り、どんな体型に向いているのかを整理する。
ここを押さえておくと、コート選びで迷わなくなる。
まずはひとつずつ特徴を見ていく。
トレンチコート|まっすぐ見える形で女子っぽい雰囲気に近づける

トレンチは、女装で使いやすいコートの代表だ。
前を閉めると全体がまっすぐ見えるので、肩幅や胸板の大きさ、胴長っぽさなど『男が出やすい部分』がそのまま弱まる。
形そのものが女子寄りなので、着るだけで見た目のバランスが変わる。
トレンチがどうして女子っぽく見えるのか、どんな体型に向きやすいのか、そして選ぶときに注意したいポイントを紹介する。

ベージュの定番トレンチ。前を締めるだけで、全体がまっすぐ見えて女子寄りのバランスを作りやすい。
女子っぽく見える理由
トレンチは、腰の位置が高く見える作りになっている。
そのおかげで、男特有の胴が長く見える感じが薄くなる。
さらに、歩いた時に裾がすこし動くので、見た目が固まりすぎず、女子っぽい軽さが出る。
スカートでも細身パンツでも合わせやすいのも大きい。
向く体型・向かない体型
肩幅が広い男や、腰まわりに厚みがある男でも扱いやすい形だ。
胴が長く見えやすいタイプとも相性が良い。
ただ、胸板が分厚い人は、胸まわりが前に張り出して見えることがあるので、サイズ感に気をつけたほうがいい。
おすすめの選び方
生地は柔らかめのほうが女子寄りになる。
かたいウールやパリッとした素材だと、輪郭が角張って見えやすい。
色はベージュやグレージュなど、落ち着いた色だと自然に馴染む。
丈は膝〜ふくらはぎくらいが扱いやすく、全身のラインがまっすぐ見えやすい。
トレンチは、写真で見えるシルエットがそのまま完成度に直結する。素材と丈だけ意識すれば扱いやすい。
トレンチはインナーが見えやすい形なので、色合わせを知っておくと精度が上がる。
→ インナーとアウターの色バランス
チェスターコート|落ち着いた雰囲気で大人の女子感を出しやすい

チェスターコートは、シンプルでまっすぐな形をしているので余計なボリュームが出にくく、男の肩幅や背中の大きさをほどよく分散してくれる。
前を開けて着ても、閉めて着ても形が乱れにくいので扱いやすい。
チェスターが作る雰囲気、どんな体型に向くのか、選ぶときに気をつけたいことを紹介する。

チャコールのチェスターに白ニットを合わせた落ち着いた冬コーデ。前を開けても形がきれいに見える。
女子っぽく見える理由
チェスターは、まっすぐ縦に見えるので全体が細く見えやすい。
前を開けて着ると、コートの中に空間ができて表情が固くならない。
ニットやデニムと合わせても品が出やすく、街で自然に馴染む。
向く体型・向かない体型
背が高い人や、肩・背中に厚みがある人なら相性がいい。
縦のラインがそのまま活きるので、全体がすっきり見える。
逆に、小柄な男が長めのチェスターを着ると、服に着られている感じが出やすい。
それでも着るなら、丈を少し短めにするなど工夫をしたい。
おすすめの選び方
生地は、ほどよくやわらかいものが使いやすい。
かたすぎる素材は、肩や胸まわりの角がそのまま出てしまう。
色はチャコールグレーやブラウンなど、暗すぎない落ち着いた色だと女子寄りに見えやすい。
丈は太もも〜ひざ上のミドル丈が自然で、街で歩きやすい。
チェスターは生地の落ち方や丈が分かりにくいので、ここで形が近い実物を見ておくと選びやすい。
チェスターは色の差で印象が大きく変わる。落ち着いた色を選ぶと、女子っぽさに寄せやすい。
チェスターは素材の硬さで印象差が大きい。
素材の比較はこちらに詳しく書いている。
→ 女装アウターは素材で激変
Pコート|短い丈で『かわいさ』を作れるが体型との相性が出やすい

Pコートは丈が短いので、上半身の形がそのまま出やすい。
なので、僕ら女装男子は肩幅や胸板が大きいので、服の中に入りきらずに輪郭が四角く見えることがある。
だが、ハマる体型の人なら『冬らしいかわいさ』を作れる。
ここでは、Pコートがどんな雰囲気を作るのか、どの体型に向くのか、選び方のポイントを紹介する。

ショート丈のPコートに白マフラーを合わせた冬コーデ。上半身が軽く見えて、かわいさが出やすい組み合わせ。
女子っぽく見える理由
Pコートは丈が短いので、ボトムとの組み合わせで女子っぽさを作りやすい。
下にスカートやワイドパンツを合わせれば、重心が下に向いて自然なAラインができる。
マフラーやストールを足すと、上半身の見え方が柔らかくなり、かわいく見えやすい。
向く体型・向かない体型
肩幅が広すぎない人や、下半身にしっかりめのボリュームがある人なら相性がいい。
Aラインにしやすいので、全体の形がまとまりやすい。
逆に、胸板や肩まわりが大きいと、上半身が詰まって見えて、男らしさが出てしまう。
おすすめの選び方
Pコートを選ぶ時は、『短すぎない丈』を選びたい。
極端に短いと上半身が大きく見えやすいので、腰が少し隠れるくらいがバランスがいい。
色はネイビー・アイボリー・ベージュなど、柔らかく見える色が扱いやすい。
ボタンが大きすぎないタイプのほうが、全体がすっきり見える。
Pコートは丈とボタンの大きさで雰囲気がかなり変わる。参考になりそうなタイプを載せておく。
組み合わせしだいで可愛さが強まるので、下半身とのバランスを考えながら選ぶと自然にまとまる。
Pコートは肩が張りやすいので、肩の扱いを先に知っておくと安心。
→ 肩幅が気になる人のアウター選び
ロングコート|体型カバーと落ち着いた雰囲気を作れる万能アウター

ロングコートは、女装でいちばん扱いやすいコートだ。
丈が長いので、肩幅・胸板・お腹・腰回り・太ももなど、僕ら女装男子が気になる部分をごっそり隠してくれる。
前を閉めても開けても形が崩れにくく、外を歩く時に安心感がある。

ライトグレーのロングコートで全身がまっすぐに見えるバランス。上半身から足元まで一体感が出て、体型が目立ちにくい。
女子っぽく見える理由
ロングコートは、全身がひとつの形にまとまって見える。
そのおかげで、体型の凹凸がほとんど目立たない。歩いた時にコートが自然に動いて、重たい印象にならないのも大きい。
色や形を選べば、落ち着いた女子の雰囲気が出やすい。
向く体型・向かない体型
ほとんどの男に向いている。
特に、肩幅が広い、胸板が厚い、腰回りがしっかりしているなど、上半身の大きさが気になるタイプとは相性が抜群だ。
小柄な人の場合は長すぎる丈だと重く見えるので、ひざ前後の長さにするといい感じになる。
おすすめの選び方
生地は『やわらかめ』のほうが輪郭が丸く見えて、女子の雰囲気に寄りやすい。
色は黒でもいいが、グレーやブラウンのほうが表情がやさしく見える。
丈はミドル〜ロングで、ふくらはぎあたりまであると体型がしっかり隠れる。
ストレートすぎる形より、少しだけ下に広がる形のほうが自然に見える。
ロングは「どのくらいの長さが自分に合いそうか」を見るのが大事なので、ひとつ参考に置いておく。
ロングは一枚あるだけで冬の外出がぐっと楽になる。普段の靴やパンツとの相性で選ぶと失敗が少ない。
ロングコートは“縦ラインの錯覚”が強く働く。
詳しくはこちらにまとめている。
→ 女装アウターの丈選び
まとめ|『自分の体型』と『なりたい雰囲気』で選ぶ
冬の女装は、どんな服よりもコートの影響がでかい。
前を閉めてしまえば、中に何を着ていてもほとんど見えない。
なのでコートの形しだいで女子っぽさも体型の見え方も変わる。
トレンチは、腰位置が上がって見えて細く見えやすい。
チェスターは、落ち着いた雰囲気で大人っぽい女子感が作れる。
Pコートは、体型が合えばかわいさが強く出る。
ロングコートは、男の体で目立ちやすい部分をごっそり隠してくれる万能タイプだ。
大事なのは、2つだ。
- どのコートが自分の体型と合うか
- 外でどんな雰囲気になりたいか
ここを押さえておけば、冬の外出が全然楽になる。
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