
スカートを穿いたら会話が上達する。
変な話に聞こえるかもしれないが、コミュニケーションが苦手で、人と話すのが苦手で何を話せばいいかわからなかったり、変なことを言ったらどうしようって不安で会話が続かなかったりするなら、女装をしてみたら、なぜか気持ちが軽くなる。
さらに、その女装時の気持ちを思い出せば、普段(職場など)のコミュ障も改善できる。
というか、コミュ障の改善方法のコツが掴めるのだ。
『女装をしたらコミュ障が改善する』ことをお伝えしたいのだが、『コミュ障を改善するために女装をする』というのもひとつの方法かもしれない。(女装をする同志を増やすためにこういうことを言っている訳ではない。たぶん)
コミュ障に悩んでいる人に読んでいただいて、少しでも参考になれば幸いだ。
コミュ障の改善は女装をしていつもの自分を捨てること

多くのコミュ障改善法として「自分に自信を持て」「話し方を練習しろ」というものが多い。
でも、本当に苦手な僕らにとって、それは、水が苦手な人に『泳ぎ方を覚えろ』と言うくらい無茶な話だ。(ごめん、イイ例えが浮かばなかった・・・)
なので、発想を逆転させる。
『自分を変える』のではなく、『自分を捨てる』のはどうだろうか。
自分を変えようとするから難しい。なら、いっそ『自分』という存在をいったん消してしまえばいい。
そこで女装の出番だ。
女装でコミュニケーションがラクになる理由

女装をすることでコミュニケーションが楽になる理由や、学びの場としての女装活動について紹介する。
『変身』で『自分』を消す
メイクをしてウィッグをつけてブラジャーをつけると、もはや「いつもの僕」ではない。
人と話すとき、無意識に「自分らしさ」を演じたりしていないだろうか。
僕は、言いたいことがあっても自分のキャラと違うことは言えない。
そんなこんなで、思考が頭をぐるぐる回って、結局何も話さない。
そうなると、「寡黙な人」ってイメージができて、そのイメージを崩すような発言ができなくなり・・・
でも女装をすると、鏡に映るのは「演じているキャラクター」だ。
失敗しても「女装しているコイツがやったこと」であって、「本来の自分」の失敗じゃない。この距離感が緊張を一気に解いてくれる。
「僕はエロかわいい女子なんだから、少しくらい変なこと言っても許されるでしょ?」
そう開き直ると会話のハードルが下がる。自分のイメージを脱ぎ捨てることができるので、失敗を恐れない会話ができる。
ただただ「今日は明るく話そう」なんて心がけても上手くいかない。
そんなことよりウィッグとメイクをした方が簡単に「別人」になれる。
もともと演じてるから、延長線で自然に演じれる
職場では「真面目な社員」、友人との間では「エロい奴」——。普段から僕らは、状況に応じてキャラを使い分けている。
そんな、普段のキャラを急に覆して違うキャラを演じるのは難しい。だがしかし、女装をした時点で普段のキャラなんてどうでもいいぐらいに普段のキャラと違う自分を演じている。
女装がコミュ障改善に効果的な理由の一つは、この女装といつキャラ変によって、性格のキャラをなんのしがらみもなくできるようになる。
普段の「ちょっと良い自分」を演じる必要がないのだ。
重要なのは、「女装キャラ」が普段の自分との間に心理的な安全地帯を作ってくれること。この「クッション」があるからこそ、僕らはリラックスして人と関わる練習ができる。
チヤホヤされる→自信がつく→コミュ力アップ
「カワイイね!」と言われるだけで、世界が変わる。
普段の男の生活ではまず聞けないような言葉が、女装していると自然と降ってくる。
男として生きている時、見知らぬ人から容姿を褒められることなんてほとんどない。ほとんどって見栄を張ってみたが僕には皆無だ。(お母さん以外・・・)
いや、相当なイケメンならあるかもしれないが、僕のような『そこそこなイケメン』(言うだけタダ)は、街中で見ず知らずの人から「かっこいい!」なんて声をかけられるはずがない。(断言)
でも女装は、この常識がひっくり返るのだ。
特別な美人でなくても、「可愛い」のハードルは驚くほど低い。ちょっとしたメイクと服装が決まれば、見知らぬ人から笑顔で声をかけてもらえる。この体験は、男として生きてきた僕らにとってはカルチャーショックだ。
「え、こんな簡単に褒めてもらえるの?」この驚きが、自信の第一歩になる。
男としての人生では決して味わえない「容姿を肯定される体験」が、心の奥に眠っていた自己肯定感を目覚めさせてくれる。
同じ喫茶店に入っても、普段は無愛想な店員さんが、女装していると笑顔で迎い入れてくれるのだ。男と女子で周りの反応が180度変わる。
褒められることで生まれた小さな自信は、会話への積極性に変わっていく。
女装というフィルターを通すことで、男としての自分では築けなかった人間関係が開かれるのだ。
そして、ここからが重要!
この褒められた経験は「女装している時だけの自分」だけのものではなく、キャラ変しているとはいえ、褒められたのは僕自身なので「本来の自分を褒められていると認識することだ。
そうすることによって女装で得た自信が、普段の自分の中にも少しずつ染み込んでいく。
最初は「女装している時の僕」だけだった自信が、いつの間にか「いつもの自分でも大丈夫」という安心感に変わっていく。
この気持ちがコミュ障改善へ繋がるように感じる。
「男らしさ」というプレッシャーからの解放
- 会話をリードしなきゃ
- 話題を提供しなきゃ
- 面白い話をしなきゃ
男として生きていると、無意識にこんな義務感に縛られてしまう。これができないから自信をなくしてコミュ障になってしまう。(僕の場合の話ね)
だがしかし、スカートを穿いた瞬間に、男らしく振る舞う必要がなくなり、こういった不要なプレッシャーが消える。
女装キャラなら、無理に話を盛り上げなくてもいいし、黙って笑っているだけで「清楚系」と言われるし、聞き役に回れば「気配りができる」と褒められる。男としての自分には許されなかった「受け身の姿勢」が、女装時にはポジティブに評価されるのだ。(こういう言い方をすると女子に怒られそうだが・・・)
「今日はリードしなくていいや」
そう思えた瞬間、会話が驚くほど楽になる。
女装をすると「男らしさ」という呪縛から解放されて気を追わなくても良くなるコミュニケーションの形だ。
女子との話題・会話のきっかけが増える
メイクやファッションを勉強するうちに、今まで気づかなかった細かい変化にも目が行くようになる。
昨日とリップの色が違うこと、季節ごとに変わるネイルの傾向、そういった些細な変化に気づけることが、女子との会話のきっかけになる。
男として生活している時は、メイクやファッションは「未知の領域」だった。
女性が鏡の前で何をしているのか、なぜそんなに時間がかかるのか、不思議で仕方なかった。でも実際にメイクをしてみると、その大変さと繊細さが身に染みてわかる。
メイク道具を揃える大変さ、流行を追う大変さ、それらをこなしている女性たちへのリスペクトが自然と湧いてくる。この共感が、女子との心の距離を縮める最大のポイントになる。
とはいえ、アイラインやチークを変えたことに気づいても、おっさんに「アイライン変えたね」とか「チーク変えた?」と直接的に言われると気持ち悪がられるかも。なので、「今日の目元すっきりしてて素敵だね」「目の印象がいつもと違って新鮮!」「ほっぺの色が柔らかくて素敵」「顔色が明るく見えて素敵」などニュアンスを変えて伝えたい。
といったように、メイクの話題一つとっても、表面的な「可愛いね」ではなく、一歩踏み込んだ会話ができるようになる。
この「分かち合える感覚」が、男女の間にあった見えない壁(僕らコミュ障の人間が勝手に作ってた壁)を取り払ってくれる。
相手の本音が見えてくる
女装で男と接していると、男同士の付き合いでは絶対に気づけない相手の心理が、手に取るようにわかるときがある。
特にエッチなシチュエーションのときには、男は単純になるので尚更わかりやすい。
また、男たちは驚くほど素直になる。普段なら絶対に口にしないような本音を、ぽろりとこぼしたりする。
なぜなら彼らは「女装した僕」を、同性としてではなく『女性』もしくは『ちょっとスペシャルな存在』として見ているからだ。この微妙な立場の変化が、男性の本音を引き出すカギになる。
「このタイミングでこうすると、相手はこう反応する」
「こう言われたら、男はこう動きたくなる」
エッチな関係を含む親密な交流は、生きた心理学の授業みたいなものだ。
女装を通して得た「相手を読む力」は、エッチな関係のときだけでなく普段の人間関係でも役に立つ貴重なスキルだ。
「立場」が明確になると余裕が生まれる
男同士の関係では、常に無意識の上下関係が存在する。同等を装いながらも、お互いの立場を測り合い、言葉や行動で微妙な力関係が決まっていく。そして、できるだけ下に見られたくないという心が働く。
しかし、女装をしている時は全く違う。相手が自然と「こっちが上」か「こっちが下」という立場を、ほぼ無条件に決めてくるのだ。気に食わないが、相手にどう思われようが、女装の状態は本来の僕ではなく演じているキャラだと思えば張り合う必要がない。
これが意外にもコミュニケーションを楽にしてくれる。
なぜなら、男同士の時に感じる「どっちが上か」という緊張感がなく、最初から立場が決まっているからだ。
相手に下に見られていても、相手が勝手にそう思ってリラックスしているだろうし、会話もリードしてくれる。
また、逆に相手が僕を『リスペクト』『好かれたい相手』と思ってくれてる場合には、男としては経験したことがない配慮を感じる。チヤホヤされる立場になると、相手の反応が予測しやすく、自然と会話をコントロールする術が身についていく。普段の社会でも必要な「適度な優位性」を、安全な環境で練習できる貴重な機会となり、コミュニケーションに自信を持つきっかけになる。
自身の行動が楽になるだけでなく、どちらのパターンであっても相手の行動からも学べるポイントが多くあるはずだ。
まとめ:女装はコミュニケーションのリハーサル空間

女装は、単なる見た目の変化ではなく「自分」という重荷から一時的に解放され、新しい人間関係のパターンを練習できる特別な時間だからコミュ障改善に効果的だ。
男として生きていると気づかない「男女のコミュニケーションの違い」や「立場による関係性の変化」を、身をもって体験できる。見下される立場とちやほやされる立場の両方を経験することで、社会で必要なコミュニケーションスキルが自然と身につく。
女装は、硬直した人間関係から一度飛び出すための、最高のリハーサル空間なのだ。(と、カッコよく締めてみる)