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女装男子の派閥事情|エロ派・非エロ派・年齢の壁をどう越えるか

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女装男子の派閥事情|エロ派・非エロ派・年齢の壁をどう越えるか

外から見れば、女装男子はみんな仲良く一枚岩に見えるかもしれない。
けれど実際はジャンルや年齢によって見えない壁がある。僕ら当人にとっては、それを知らないと痛い目にあうこともある。

ここで書くのはあくまで僕の独断と偏見だ。でも、自分がどこに所属しているかを客観的に理解しておくことは大切だと思う。

女装の派閥(僕の偏見による分け方)

女装の派閥(僕の偏見による分け方)

女装男子と、ひとくちに言っても、実際にはいくつかの派閥に分かれている。
(派閥というか、ジャンルというか、立ち位置というか・・・)
ここからは、僕自身がこれまでの経験で感じてきた『独断と偏見の区分』を紹介する。

若い非エロ派(10代〜30代前半)

ファッションや表現を重視し、いかに自然に女子らしく見せるかを楽しむ層だ。
服やメイクは流行に敏感で、SNSでも華やかに活動していることが多い。
外から見ればキラキラしているが、他の女装男子からすると少し距離を感じてしまう(妬み的な)こともある。

若いエロ派(10代〜30代前半)

同じ若さでも方向性は全く違い、エロ要素に全振りしている層。
下着や露出ファッションを楽しんだり、性的な交流を目的に活動していることが多い。
表現派の人からは「そっち系とは距離を置きたい」と思われることもある。

30代後半〜50代の非エロ派

年齢を重ねて落ち着きが出てくると、表現派も活動のスタイルが変わってくる。
同年代同士で安心できるコミュニティを作ったり、「大人の女装」を意識して、清楚やシンプルなスタイルを追求する人が多い。

30代後半〜50代のエロ派

性的な楽しみを中心にしている人ももちろんいる。ただ、若い層と違って堂々と発信するより「こっそり」動くケースが多い。
非エロ派の人に嫌われるのを分かっているから、活動の場所を分けたり隠したりする工夫をしている。僕自身もこのゾーンに近い。

高齢層(50代以上)

さらに年齢を重ねると、非エロ派・エロ派ともに少数派になるが、存在感はある。同じ趣味を長く続けてきたこと自体に重みがあり、若い人からすると色んな意味でアンタッチャブルな存在でもある。一目置かれる存在の人もいる。

ナチュラル女子徹底派

年齢を問わず存在するのが「パス度最重視」の人たちだ。女子に完全に溶け込むことを目指し、服装・メイク・仕草まで徹底的に作り込む。
中には性同一性障害と真剣に向き合っている人も多く、遊びや性的な女装をしている僕らからすると、どうしても距離を置いてしまう相手だ。

ウィッグだけで騒ぐ派

最低限の格好だけで盛り上がる層も一定数いる。ウィッグをかぶり、スカートを履くだけで満足し、仲間同士で騒ぐのが楽しいタイプだ。ただし、メイクや体毛処理をほとんどせずに女装をするので、他の層からは、女装とは認められなかったりする。
僕もこのタイプとは価値観が合わず苦手ではある。

 

立ち位置ごとの見えない壁

立ち位置ごとの見えない壁

女装男子の世界は一見、仲良くつながっているように見える。けれど実際には、ジャンルや年齢によって見えない壁がある。敵対ということではないが、「なんとなく話しかけづらい」「一緒にいると浮くかも」と感じることが多い。

非エロ派とエロ派の溝

もっとも大きいのは、非エロ派とエロ派の溝だ。
非エロ派は「女装=表現やファッション」と考えることが多いので、性的な女装をしている人に対して抵抗感を持ちやすい。
逆にエロ派の方もその空気を敏感に感じ取っているから、表では隠しながらこっそり活動することが多い。僕自身も、非エロ派のコミュニティに属しつつ、エロ活動は別でひっそり続けている。

年齢の壁

若い層と年上の層の間には、どうしても遠慮がある。
僕も若い女装男子に気軽に話しかけられないし、逆に若い子からすれば「オジサン世代の女装」と思われるかもしれない。
女装の楽しみ方は年齢で変わるので、自然と同世代同士で固まりがちだ。

ナチュラル派への後ろめたさ

パス度最重視のナチュラル女子徹底派は、真剣に自分の性別観と向き合っている人も多い。僕のように快楽や表現で女装している人間からすると、「彼女らから嫌われるんじゃないか」と後ろめたさを感じてしまう。これは実際に嫌われているわけではなく、僕自身の勝手な線引きなのだが、それでも距離を取ってしまう。

ウィッグだけ派への苛立ち

逆に、最低限の格好しかしない「ウィッグだけ派」に対しては、軽蔑に近い感情を持つこともある。
せっかくスカートを履くなら毛の処理ぐらいはしてほしい、せっかく女装するなら綺麗を目指してほしい。そんな思いがあるからだ。価値観の違いなので仕方ないが、どうしても埋められない溝の一つだと思う。

 

それでも人間同士

それでも人間同士

ここまで派閥や溝について書いてきたけれど、結局のところ僕らは人間同士だ。壁があるように見えても、話してみれば意外と仲良くなれることも多い。ジャンルが違うからといって一生交わらないわけじゃない。

ジャンルが違ってもつながる瞬間

エロ派でも非エロ派でも、話してみれば「女装が好き」という根っこは同じだ。その共通点があるからこそ、ちょっとした会話や共感で距離が一気に縮まることがある。

同ジャンル同士でも合わないことはある

逆に、同じ立ち位置に属していても「この人とは合わない」と思うことは普通にある。女装男子といえども、好みや考え方、性格は千差万別。立ち位置が同じだからといって必ず仲良くできるわけではない。

男社会と同じような距離感

これは女装男子に限らず、普通の男社会でも同じだ。例えば、高校生と中年のサラリーマンが同じ場にいても、自然と壁ができる。
でも、話してみれば人間同士のコミュニケーションが生まれる。女装の世界も、結局はその延長線に過ぎない。

 

立ち位置を知れば、もっと自由になれる

女装の世界には派閥や見えない壁がある。非エロ派とエロ派、若い世代と年上世代、ナチュラル派とそうでない人──それぞれに違いがあり、偏見もある。僕も例外ではなく、勝手に線を引いたり後ろめたさを抱えたりしている。

けれど、それはあくまで偏見であり、現実はもっとゆるやかだ。壁があっても話せば仲良くなれることもあるし、同じ立ち位置でも合わない人はいる。結局のところ、女装だから特別なのではなく、人間同士の距離感の話にすぎない。

大切なのは、自分がどの立ち位置にいるのかを客観的に知っておくことだ。それを理解していれば、無用に傷ついたり、場違いな思いをすることも少なくなる。立ち位置を知ることは、自分を守る手段でもある。

そして最後に──派閥があろうとなかろうと、僕らはみんな同じ「女装を楽しむ人」だ。その事実を忘れなければ、壁は思っているより低いのかもしれない。

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