
夜の皇居外苑で声をかけられた。
「ちょっといいですか?」
振り向いた瞬間、心拍が一段上がる。
女装で外に出ていると、いつか来るかもしれない場面だ。
女装で外出しても犯罪ではない。
だが、空気を外せば職質は普通に起こる。
僕の体験を含めて、女装と職質のリアルを書いておく。
女装は犯罪か
結論から言えば、女装そのものは違法ではない。
ただし、場所のルールを無視すれば話は別だ。
女子トイレや女湯に入るのは当然アウト。
露出が過剰なら公然わいせつや軽犯罪法の対象になる可能性もある。
女装だからどうこうではなく、「周囲を不安にさせる行為」かどうかで判断される。
トイレ問題で迷うと、外出そのものが怖くなる。ここは一度整理しておいたほうが気が楽だ。
👉 女装で外出するときのトイレ事情ガイド:安心して使うための工夫とマナー
この前提を踏まえたうえで、本題に入る。
女装していると職質されやすいか
「女装=変態」という時代ではない。
昔よりは確実に空気は柔らいでいる。
それでも、声をかけれるときはかけられる。
でも、職質の理由は『女装だから』ではない。
浮いているからだ。
皇居外苑で止められた話
出張のついでに都内で女装を済ませ、新幹線まで時間があった。
皇居外苑を散歩していたら声をかけられ、カバンの中まで調べられた。
理由は女装ではなかった。
場所に似合わない大きなバッグだったらしい。
僕は、新宿や上野などの繁華街で女装でフラフラすることが多い。
繁華街では職質の対象にならなくても、重要施設周辺では基準が変わるのだろう。
ここで分かったのは、警察は『変態』を探しているわけではないということだ。
この場所では、危険かどうかを見ている。
そして、本当に治安を守らなければならない重要な場所でお巡りさんの貴重な時間を奪ってしまうのは申し訳ない。
地方で止められた話
数年前、岐阜県の某市。
男子トイレから出たところで声をかけられた。
「何故そんな格好をしているのか」
「目的は何なのか」
「ホモなのか」
淡々と答えても、高圧的な態度は変わらなかった。
僕は、趣味で女装をしているだけの、いわば『タダの変態』だからよかったが、僕が性同一性障害だったとしたら、あの岐阜●警察署の警察官は、どうするつもりだったのだろうか。
都心と地方では空気が違う。
都会では『変わった人』で済むものが、地方では『怪しい人』になることがある。
だから地方では時間に余裕を持つ。
焦りは違和感になる。
空気が違えば、扱いも変わる。だから防衛は感情ではなく設計だ。
👉 女装の姿勢と動き完全ガイド|一瞬で崩れない身体の使い方
パス度は関係あるか
正直、ある。
学生時代の僕は、いわゆる『ザ・平成のオカマ』という見た目だった。
フリフリの服に濃いメイク。男であることを隠す気もなかった。
今は年齢を重ねたが、メイクも服も落ち着いた。
派手さよりも馴染みを優先している。
美人になる必要はない。
「確実に男だ」と思われないだけで、空気は変わる。
では、どこまで整えれば「止められにくい側」に入るのか。
その基準はここで具体的に書いている。
👉 女装は50点でも外に出られる|パスできる基準の話
派手さを足すより、違和感を削るほうが効く。
やり方は別でまとめている。
👉 女装メイク入門|ゼロから始める初めてのメイクのやり方
👉 女装ファッションの基本ガイド|自然に見せる服の選び方
職質はゼロにはならない。
だが頻度は変わる。
男の姿でも止められる
油断していると、男の姿でも止められる。
- 大きすぎるバッグ
- 女子物の財布
- スマホケースの違和感
僕はパンプスを履いてB面で歩いていて止められたこともある。
女装が原因というより、組み合わせの違和感だ。
違和感は、積み重なると『怪しい』になる。
職質されたらどうするか
隠すほうが怪しい。
カバンから女子の下着や服が出てきて、窃盗を疑われたときは、さっさとウィッグを見せる。
「女装が趣味」と言えば話は早い。
警察は思想を裁く機関ではない。
危険かどうかを確認するだけだ。
普通に受け答えをすれば、思ったよりあっさり終わる。
周囲が集まることもほとんどない。
むしろ、雑談で終わることもある。
職質されたらこんな感じ
僕が実際に職質をされた時のことを思い出して文字にしてみた。
職質に合う前にチェックして予習をしておくと、いざの時に冷静に対応できるかもしれない。
女装中に職質をされる場合
警察:こんにちは
僕:こんにちは
どうせ身分証で女装をしていることはバレるので変に声を作らずに、
悪びれることなく普通の男の声で「こんばんは〜」堂々と男声で受け答える
警察:あれっ?男性の方ですか?
僕:はい。
(嘘か真か、「女性だと思った」と言ってくれる警察官は大体感じが良い)
警察:いつも、こういう格好をしているのですか?
僕:たまにしてます
悪びれず(悪いことはしていないので当然だが)堂々と答える方がすんなり終わる(気がする)
警察:どちらへ行かれるのですか?
僕:○○です
正直に答えるに限る
たいていは、あと2,3質問があって誠実に答えればコレで終わる。
だが、持ち物を調べられることもなくはない。
警察:このバッグはあなたの?
僕:はい、僕のです
警察:危ないものは持っていないですよね
僕:着替えが入ってます
警察:中を見せてもらっても良いですか?
僕:いいですよ
警察:では、ここ開いてもらっても良いですか?
警察:この袋の中は?
僕:下着類です
って、いうと袋の外から触って柔らかいことを確認して、それ以上は見られないことが多い
警察:この袋の中身は?
僕:メイク道具です
警察:中の確認をしてもいいですか?
メイク道具と言うと、何故か中身を確認されたりする。
悪いものは下着に紛らせるに限る(悪いものなんて持っていないし持つ予定もないが)
警察:この辺り、最近痴漢の被害が多いので気をつけてくださいね
最後に女性扱いをしてくれることも。
職質は誠実に答えるに限る
男の姿の時の職質
実は、女装時よりも時間を要すことが多かったりする。
つい先日、所持品検査までされてしまった時のやりとりも紹介しておく。
警察:こんにちは
僕:こんにちは
警察:どちらへ行かれるのですか?
僕:ブラブラしているだけです
警察:このバッグはお兄さんの?
僕:はい、僕のです
この時も、スーツに合わないトートバッグが原因で声をかけられた。
そして、トートバックから顔を出しているスマホの話題へ
警察:可愛いスマートホンですね?アイフォンですか?
僕:これですか?アンドロイドです
警察:これはディズニーか何かのキャラクターですか?
僕:いや、何のキャラクターか分からないですw
スマホを見せろと言わず、自然と見せるように誘導する警察
警察:これ、バックの中は他に何が入っているんですか?
持ち物を見られたくなかったが、こうなると見せなければ終われない。
なので、即女装趣味のカミングアウトに限る。
僕:女装道具です。
警察:女装?お兄さんが女装ってこと?
僕:そうですよ
警察:バッグの中身を見せてもらえませんか?
僕:いいですよ
警察:これは?
僕:下着類です。
警察:見ても良い?
女装をしている時は、下着が入っている袋を見られることはなくても、
男の姿の時は躊躇せず見てくることが多い意味は理解できないが・・・
警察:これは何処で買ったんですか?
僕:ネットで買いました。
メイク道具やウィッグも一緒に持っていれば察してくれるが、下着だけの場合などは、面倒な疑いをかけらるかもしれない。
ネットのショッピングサイトの購入履歴をすぐに出せるようにしておけば話は早い。
職質されると嬉しい
女装をして職質されることは嫌なことばかりではない。
というか、職質の程よい緊張と、非現実感が僕は嫌いじゃない。
職質されると度胸がつく
女装をして歩いていると、
「まわりにどう思われているだろう」と不安になったりする。
女装がバレているのではないか、変な目で見られているのではないか・・・
いろんな不安を感じながら一人で戦っている。
そんな時、警察官が他人ばかりの都会の人混みの中で僕の相手をしてくれる。
大いなる孤独の中で、僕の相手をしてくれ、そして大体は話しているうちに僕の趣味を認めてくれる。
(心の中は分からないが、大人の対応をしてくれるので)
自分の趣味について聞いてもくれる。
知らない人ばかりの都会の中で、頼もしい味方ができた気分になれて度胸がつく。
女性警察官が多い
最近、男性警察官と女性警察官がコンビ動いていることが多い。
女装をしていると、バッグの中身は女性警察官が確認してくれることが多く、
その気遣いがなんか嬉しい。
そして、僕の趣味を興味深げに楽しんでくれる女性警察官や、逆に冷ややかな目の女性警察官。
どちらにしても僕にはご褒美だ。
男性警察官でも
「女装をすれば、もうひとりの自分を発見できる」とは、よく言われるが、
普段の僕は、どちらかというとコミュ障なタイプだ。
しかし女装をすると、まるで生まれながらの陽キャのような振る舞いができる(ときがある)。
「お巡りさん、男前!!抱かれたい!」
とか、無駄にオカマキャラを演じちゃう僕が出現することがある。
そんな、僕自身が引くぐらい僕じゃない何かを僕の中に発見するのは楽しい。
でも、これだけは言っておく。
こんな僕に、お巡りさんの貴重な時間を奪ってしまってゴメンナサイ!!
女装は法律の問題より、空気との付き合い方の問題だ。
この話をもっと掘った記事も一緒に読んでほしい。
👉 女装の思想ガイド|違和感・欲望・現実との付き合い方
女装と職質の本質
女装は違法ではない。
だが、空気を外せば疑われる。
職質は、性別の問題というより、違和感の問題だ。
服と場所。
持ち物と時間帯。
態度と視線。
全部が組み合わさって「浮く」かどうかが決まる。
女装で外に出るとは、メイクの完成度だけでなく、空気の読み方まで含めた行為だ。
怖がる必要はない。
だが、無防備でもいられない。
それが、僕の出した結論だ。