
リップを選ぶとき、こう思いがちだ。
- 赤は強すぎる気がする
- ピンクは女子っぽくなりそうで怖い
- ベージュは地味すぎて意味があるのか分からない
この迷いは、かなり普通だ。
リップだけは、他のメイクと違って色そのものが前に出やすい。
ほんの少し違うだけで、顔全体の印象が一気に変わる。
だから失敗しやすい。
そして失敗すると、二度と触りたくなくなる。
なぜそう見えてしまうのかを整理する。
読み終わるころには、赤が怖く見える理由も、ピンクが浮く瞬間も、
ベージュが無難に成立する条件も、全部つながって見えるはずだ。
なぜリップは色選びで失敗しやすいのか
リップは、他のメイクと同じ感覚で選ぶと違和感が出やすい。
色を少し足しているだけなのに、顔全体の印象が大きく動いてしまうのが、リップというパーツの厄介なところだ。

発色の強い色のリップをしっかり塗ってしまうと、輪郭までくっきり出て、口元が主役になりやすい。
唇は最初から色を持っている
肌はファンデーションで均一に近づけられるが、唇はそうはいかない。
男の唇は思っている以上に赤みや暗さが残っていて、その上にリップの色が重なることで、見本とは違う発色になりやすい。
店や画像で見た色と、実際につけた色が一致しないのは、リップが悪いのではなく、元の唇の色が計算に入っていないことが原因だ。
顔の中で唇だけが強く区切られている
唇は、顔の中でも輪郭がはっきりした場所だ。
そのため色が少し変わるだけで、線として強く認識され、視線を集めやすくなる。
濃ければ主張が前に出て、白っぽければ浮いて見える。
リップは量の多さよりも、色の差がそのまま印象になる。
色選びがそのまま印象を決めてしまう
赤が怖く感じたり、ピンクが女子っぽく見えたり、ベージュに不安を覚えたりする。
どれも色そのものが悪いわけではなく、どう見えやすい色なのかを知らないまま選んでいるからだ。
ということで、赤・ピンク・ベージュがそれぞれどんな失敗を起こしやすい色なのかを順番に整理していく。
赤が怖く見える理由
赤リップは、似合う似合わない以前に、使いどころが難しい。
少し塗っただけでも存在感が出やすく、顔の中で唇だけが目立ちすぎて見えることが多い。
でも、赤が怖く感じるのは、派手だからではなく唇の輪郭と主張を一気に強めてしまうからだ。

左は赤の主張が強い例、右は薄めで控えめな例。同じ顔でも唇の目立ち方が変わる。
赤は唇の輪郭をはっきりさせすぎる
赤は、色の中でもコントラストが強い。
なので、唇の形や大きさがそのまま強調され、線として目に入りやすくなる。
男の唇は、もともと輪郭が直線的で厚みも出やすい。
そこに赤を直塗りすると、唇の存在だけが急に主役になり、顔全体のバランスが崩れて見える。
赤が強く見えるのは、量が多いからではなく、輪郭がくっきり出てしまうことが原因だ。
少量でも主張が出やすい
赤は、少しの量でも色がはっきり出る。
そのため、唇にそのまま塗ると、塗った瞬間に完成形に近い状態になってしまう。
一度しっかり色が出ると、そこから薄くしたり、目立たなくしたりするのが難しい。
濃いと感じても、あとから少しずつ調整する余地が残らない。
赤が扱いにくく感じるのは、色が特別に難しいからではない。
塗ったあとに直す余裕が少ない色だからだ。
赤が成立しやすい使い方もある
赤が全部ダメという話ではない。
ただ、使い方を絞る必要がある。
赤を唇全体に広げると、主張が強くなる。
なので、唇の真ん中あたりに少しだけ色をのせると見え方はかなり変わる。
輪郭まできっちり塗らず、境目をぼかすだけでも、赤の強さは和らぐ。
ツヤが強いものより、薄く色が出るタイプを選ぶと、さらに目立ちにくくなる。
赤は、しっかり塗って完成させるのではなく、ほんのり赤みを足すための色だと考えると、いい感じになる。
ピンクは女子っぽくなりすぎる?
ピンクは、赤ほど強くなさそうに見える。
初めてリップを選ぶときに安心して手に取りやすい色でもある。
ただ、実際につけてみると、思ったより違和感が出やすい。
顔から浮いて見えたり、急に女子感が強く出たりして、戸惑うことも多い。

左は明るいピンクで浮きやすい例、右は落ち着いた色でなじみやすい例。白っぽさが違和感の原因になりやすい。
明るすぎるピンクは唇から浮いて見える
ピンクの中でも、白っぽくて明るい色は注意が必要だ。
唇の赤みと混ざらず、そのまま色だけが乗るため、唇だけが別物のように見えやすい。
その結果、唇が目立ちすぎて、メイクをしている感じが急に強くなる。
血色を足したつもりが、逆に不自然になる
血色を良く見せるためにピンクを使いたくなる。
しかし、色が明るすぎると、元の唇の色を消してしまう。
血色を足すつもりで塗ったのに、実際には唇の存在感だけが強調されてしまう。
使うなら、赤に近いピンクを選ぶ
ピンクを使いたいなら、方向を少しだけ変える。
白に近いピンクではなく、赤みを含んだ落ち着いた色のほうが唇と混ざりやすい。
薄く塗って、元の唇の色が少し透けるくらいがちょうどいい。
ピンクは目立たせる色ではなく、自然な血色を補う色として使うと失敗しない。
ベージュが無難に見える条件
ベージュは、派手にならなそうで安心感がある。
赤やピンクで迷ったあとに行き着きやすい色でもある。
ただ、どんなベージュでも無難になるわけではない。
選び方を間違えると、顔色が悪く見えたり、何も塗っていないように見えたりする。

落ち着いた赤みのあるベージュのリップ。強すぎない色だと、唇が主張しすぎることを防げる
ベージュは単体で完成する色ではない
ベージュは、それ自体が強く主張する色ではない。
唇の元の色と混ざって、はじめてちょうどいい見え方になる。
そのため、肌の色だけを見て選ぶと失敗しやすい。
ベージュは肌に合わせる色ではなく、唇の色と重なって完成する色だ。
赤みがまったくないベージュは避けたほうがいい
完全に色味のないベージュは、男の唇には合いにくい。
唇の赤みや暗さを打ち消してしまい、血の気が引いたように見えることがある。
無難に見せたいなら、少しだけ赤みを含んだベージュを選ぶ。
それだけで、唇が自然に見えやすくなる。
薄く塗って成立するのがベージュの強み
ベージュは、濃く塗る必要がない。
むしろ、薄く塗ったほうが、元の唇の色ときれいに混ざる。
強く主張しない分、顔全体の中で浮きにくく、リップを塗っていることが悪目立ちしにくい。
ベージュは、失敗しにくい色というより、失敗が目立ちにくい色だ。
肌色より唇の色を見る
リップを選ぶとき、肌の色を基準にしがちだ。
手の甲に塗って比べたり、肌なじみが良さそうかどうかで判断したりする。
ただ、リップは肌にのせるものではなく、すでに色を持っている唇に重ねるものだなので、その選び方だと「思ってたのと違う!」ってなりがちだ。
唇は最初から完成形に近い色をしている
僕ら男の唇であっても、思っている以上に赤みや暗さがある。
何も塗っていなくても、一つの色として成立している状態だ。
そこにリップを重ねると、
リップの色+唇の色
という形で見え方が決まる。
見本やテスターと同じ色にならないのは当然で、違う色が重なっている状態だ。
腕の色を見ても、唇の仕上がりは分からない
手の甲は、唇よりも色が薄く、質感も違う。
そのため、腕で見た色をそのまま唇に当てはめると、想像とズレやすい。
腕で可愛く見えたピンクが唇では浮いたり、自然そうに見えたベージュが思ったより濃く出たりするのは、この差が原因だ。
リップは重なった結果で判断する
リップ選びで大事なのは、その色が唇にのったとき、どう混ざりそうかを想像することだ。
白っぽい色は混ざらずに浮きやすく、赤みを含んだ色は唇と重なってなじみやすい。
肌色に合うかどうかより、唇の色と喧嘩しないかを見る。
それだけで、選び方はかなり楽になる。
迷ったら「薄くなる前提」で考える
最初からはっきり発色する色より、薄く塗っても成立しそうな色のほうが扱いやすい。
どう見えるか分からないときは『この色が唇の赤みと混ざったらどうなるか』を基準に考えると、失敗しない。
最初は、だいたいでいい
ここまで散々色の話をしてきたが、実はそこまで神経質になる必要はない。
超赤や、白っぽすぎるピンクを避けていれば、あとは多少適当に選んでも、見た目はそれなりにまとまる。
リップは、極端な選び方や極端な塗り方をして失敗しなければ、手軽に変化が出てメイクの中でも分かりやすい存在だ。
だからこそ、最初の一歩として触るには向いている。
完璧な色を探すより、塗ってみて、少し変わったと感じる経験のほうが大事になる。
リップはメイクの自信を作りやすい
リップは、数分あれば終わる。
道具も少なく、やり直しも簡単だ。
塗ったあとに鏡を見て、さっきより顔がはっきりしたと感じられれば、それで十分だ。
この小さな変化が、他のメイクに手を伸ばすきっかけになる。
色を意識するのは、慣れてからでいい
最初から色の違いを完璧に理解する必要はない。
何度か塗ってみるうちに、これは強い、これは落ち着く!と感覚が分かれてくる。
その段階で、赤みがあるとか、白っぽいとか、今回触れた話を思い出せばいい。
まずは一本、気楽に選ぶ
リップは、慎重になりすぎると前に進めなくなる。
失敗しない条件だけ押さえて、一本選んでみる。
それで少し自信がついたら、次は色を意識する。
この順番で十分だ。
じゃあ具体的にどれを選べばいいのか知りたくなったら、最初の一本を決める話をまとめているこの記事が役に立つ。
👉 初めての女装に最適!初心者向けリップメイクの選び方と始め方
色が決まったら、次は塗り方だ。
濃くならないための考え方や、自然に見せるコツは、こちらで整理している。
👉 女装初心者のためのリップメイク入門|自然に見える塗り方と落ちないコツ