
リップを塗ってみると、色は派手じゃないはずなのに、口元だけ浮いている気がする。
リップって、思っていたより難しいと感じた人も多いはずだ。
その違和感の原因は、色だけではない。
リップにはツヤやマット、シアーといった質感の違いがあり、この違いだけで、同じ色でも見え方が全然変わる。
メイクに慣れていないと、赤を選んだ、ピンクを選んだ、というところまでしか意識が向かない。
だけど、僕ら男の唇は『どんな質感か』のほうが印象を決める大きな要素になる。
ということで、
ツヤはなぜ目立ちやすいのか、
マットはなぜ強く見えやすいのか、
シアーはなぜ失敗しにくいのか、
その違いを順番に紹介していく。
リップは、メイクの中でも一番変化が分かりやすい。
だからこそ、質感を知るだけで、急に楽になる。
リップは質感で印象が決まる
リップというと、赤かピンクか、どんな色かを一番に考えがちだ。
でも、実際につけたときの印象を大きく左右しているのは、色よりも質感だ。
同じ色でも、ツヤがあるか、ツヤがないか、透けているかで、見え方はまったく変わる。
色は控えめなのに強く見えたり、逆に薄いのに自然に見えたりするのは、その違いが原因だ。
メイクに慣れていないと、色の違いよりも質感の影響を強く受けやすい。
なので、色選びだけを頑張っても、なんか違うという感覚が残りやすい。
同じ色でも、見え方が変わる理由
唇は、光を受けやすい場所だ。
ツヤがあれば光を反射して立体的に見え、ツヤがなければ色と形がそのまま出る。
色そのものが同じでも、光り方や透け方が違うだけで、目に入ってくる情報は大きく変わる。
男の唇は質感の影響が出やすい
男の唇は、厚みや輪郭がはっきりしていることが多い。
そのため、質感の違いがそのまま出やすい。
ツヤが強いと唇だけが目立ってみえ、マットだと形がくっきり残る。
シアーだと、元の唇と混ざって落ち着きやすい。
良い悪いの話ではなく、どう見えやすいかの違いを知っているとメイクをするにあたって強いスキルになる。
ツヤはなぜ目立ちやすいのか
ツヤのあるリップは、いちばん分かりやすく変化が出る。
塗った瞬間に、口元がはっきりして、顔の印象が変わったと感じやすい。
これは、ツヤが光を反射するからだ。
唇はもともと立体のあるパーツなので、ツヤが加わると、その形や厚みが強調される。
色が濃くなくても、ツヤがあるだけで存在感が増して見える。

ツヤのあるリップ
光を反射しやすく、口元に視線が集まりやすい
光を拾うことで、口元に視線が集まる
ツヤのある唇は、光を受けるたびにキラッと反応する。
その動きがあるぶん、自然と視線が口元に集まりやすくなる。
女子のメイクでは、これが華やかさや色っぽさになる。
ただ、女装を始めたばかりのメイクに慣れていないの段階だと、思っていたより口元が強調されて見えることがある。
色が控えめでも目立つことがある
ツヤの特徴は、色の強さとは別に働くところだ。
ベージュや薄いピンクでも、ツヤが強いと、唇だけが目立って見えることがある。
色を抑えたのに違和感が出た場合、色ではなくツヤに原因があることが多い。
最初はツヤの強さを控えると安心
ツヤが悪いわけではない。
ただ、最初から強いツヤを選ぶと、調整が難しく感じやすい。
初めて使うなら、ほんのり光る程度か、ツヤが弱めのタイプを選ぶと、口元の主張が出すぎにくい。
ツヤは慣れてから足せる。
最初は、控えめに使うくらいがちょうどいい。
マットはなぜ強く見えやすいのか
マットなリップは、落ち着いて見えそうな印象がある。
ツヤがないぶん、大人っぽく控えめに仕上がりそうだと感じがする。
たがしかし、実際につけてみると思ったより強く、はっきりしすぎている。
そんな違和感が出やすい質感でもある。

マットなリップ
ツヤがなく、唇の形と色がそのまま出やすい
色と形がそのまま出やすい
マットとは、光を反射しない質感だ。
そのため、色と唇の形が、そのまま目に入る。
ツヤがあると光でごまかせる部分も、マットだと隠れずに見える。
輪郭や厚みがはっきりしている人ほど、口元の存在感が強くなりやすい。
塗った時点で仕上がりが決まりやすい
マットは、塗った瞬間に完成形に近づく。
あとから少し薄くしたり、目立たなくしたりする余地が少ない。
そのため、『ちょっと濃い』『ちょっと合わない』と感じたときに、修正が難しくなる。
マットが扱いにくく感じるのは、色が難しいからではなくやり直しがききにくい質感だからだ。
最初の一本には向きにくい理由
マットは、慣れてから使うと良さが出る。
ただ、メイクを始めたばかりの段階では、強さがそのまま出てしまいやすい。
最初の一本として選ぶなら、マットよりも少し透けるタイプや、ツヤが控えめなもののほうが安心だ。
シアーはなぜ失敗しにくいのか
シアーというのは、色が透けるリップのことだ。
はっきり色がつくのではなく、唇の色がうっすら見えたまま、その上に色が重なる。

シアーなリップを塗った唇のアップ。色が透けて、自然に見える仕上がりの例
シアーは「薄い色」ではない
とはいえ、シアーは、色が弱いというわけではない。
色はあるが、全部を覆わないという状態だ。
そのため、リップの色と唇の色が自然に混ざり最初からなじんで見えやすい。
見た目が派手になりにくく、塗っている感じだけが目立つことも少ない。
唇の色が残るから、浮きにくい
シアーの一番の特徴は、唇の元の色が消えないことだ。
赤みや暗さが少し残った状態で仕上がるため、色だけが別物のように浮いて見えにくい。
多少ムラがあっても、それが目立ちにくいのも、この質感の強みだ。
少し失敗しても、目立ちにくい
シアーは、濃くなりすぎたり、強くなりすぎたりしにくい。
塗りすぎたと感じても、失敗した見た目になりにくく、やり直しの余地が残る。
このごまかせる余白があることが、慣れていなくても使いやすい理由だ。
初めて選ぶなら、シアーが安心
ツヤは目立ちやすく、マットは強く出やすい。
その中で、シアーは一番クセが出にくい。
リップを塗ること自体に慣れるには、ちょうどいい質感だ。
まずはシアーで、リップを塗る感覚に慣れる。
そこから、ツヤやマットに進めばいい。
迷ったら、質感を先に決める
リップを選ぶとき、
色から考え始めると、どうしても迷いやすくなる。
赤か、ピンクか、ベージュかと考えているうちに、どれも違う気がして止まってしまう。
そんなときは、色より先に、質感を決めてしまったほうが楽だ。
自然に見せたいなら、まずシアー
目立たせたいわけではない。
とにかく浮かずに、違和感なく使いたい。
そう思っているなら、質感はシアーを選ぶ。
シアーなら、色が多少ズレても強く出にくく、唇の色と混ざって落ち着きやすい。
最初の一本としては、いちばん安心できる選択だ。
しっかり作りたい日は、ツヤやマット
今日はバッチリ系のメイクをしたいと思った日に、ツヤを足したり、マットを選んだりすればいい。
慣れないうちから使いこなす必要はない。
ツヤは華やかに見せたいとき、マットは形をはっきり見せたいとき。
使う場面が分かれてくる。
質感が決まると、色も決めやすくなる
質感を先に決めると、色の選択肢は自然と絞られる。
シアーなら、多少色があっても問題になりにくい。
マットなら、強くなりすぎない色を選ぼう、と判断がつく。
色で迷ったら質感に戻る。
それだけで、リップ選びが楽になる。
色と質感は、行ったり来たりで考える
リップが強く見えるとき、原因は一つとは限らない。
色が合っていないこともあれば、質感が先に主張していることもある。
だから、どちらか一方だけで考えなくていい。
色で迷ったら質感に戻る。
質感で迷ったら色に戻る。
この行ったり来たりができると、リップを上手く選ぶことができる。
ツヤが強すぎたのかもしれない。
マットで形が出すぎたのかもしれない。
あるいは、色そのものが少し合っていなかったのかもしれない。
切り分けて考えられるだけで、修正はずっと楽になる。
色で迷ったら、考え方を揃える
赤が怖い、ピンクが浮く、ベージュが不安。
そう感じたときは、色そのものが悪いわけではない。
どう見えやすい色なのかを知っていれば、選び方はシンプルだ。
色の特徴を一度整理しておくと、質感との組み合わせも考えやすくなる。
質感が分かれば、色選びは怖くない
色選びで迷っていた理由が、実は質感だったと気づくことも多い。
ツヤ・マット・シアーの違いを分かってから色のを選ぶと、リップの選ぶ基準が楽しくなる。